阿須山中の調整池の構造や仕組み、どの様に伐採で低下した保水力が保持されているか、等、について飯能市にある埼玉県飯能川越農林振興センターに2021.08.27に再確認した。
数ヶ月前、飯能市道路公園管理課で聞いた、阿須山中の調整池は排水口が池の底に有って常時開放され放流をする構造、止水弁も、保水槽もない?が事実かの確認です。
飯能市は池の底の排水口は390mm角管、又、底から1,300mm上方に大きな開口の越水口、オーバーフローがある。通常は下の排水口から常時は放流、水量が増し、下の排水口からの放流量が限界となると、初めて調整池に水が溜まり始める、そして、更に水が溜まり、その水嵩が(深さ)が1,300mmになると、上の排水口から越水(オーバーフロー)する、止水弁も、保水槽もない。一方、唐沢川への放流管は共通で1,200mm角管、との説明でした。
県飯能川越農林振興センターの担当部長は飯能市の説明の通りと確認されました。
次は、池の底の排水口の390mm角管、それと底から1,300mm上の大きな開口の越水口、共用の1,200mm角管の排水管の放流量についてです。
阿須山中事業地の排水は基本的に事業地全域の排水を排水管で調整池に全て集水し、これ等を纏めて調整池から唐沢川へ一箇所から集中放流する仕組みです。
飯能市が事業者に許可したこの最大放流可能量は0.05m3/秒/ha(ヘクタール)です。
これは事業地の総面積を約20ヘクタールとして計算すると約1.00m3(1トン)/秒です。
池底と下方の低い所に有る唐沢川とは約20mの高低差が有ります。
池の底の排水口の390mm角管は、最大でこの飯能市許可の1.00m3(1トン)/秒、一時間にすると3,600m3、降雨量的に言えば360mm分の放流が出来るものです。 この水量が共通の1,200mm角管の排水管から川へ一箇所から集中放流される事となります。
1,300mm上方の大きな開口の越水口から越水:オーバーフローとなった場合は、共通の1,200mm角管の排水管の許容排水量まで放流となりますが、この放流量は飯能市許可の1.00m3(1トン)/秒どころでは有りません、この状態になる制御不能となり、基本的には想定外の異常事態となる訳です。
次はこれ等の図による明示になります。
次図は、分かり易く縮尺を無視して簡明に図示したものです。
次図は、埼玉県提供の図面の排水枡部分を拡大し注釈を付けたものです。
次図は、埼玉県提供の元図面です。
次は、降水量と実際に調整池に流入する表面流水の関係表です。
この表から一般的に降水量が阿須山中の剥き出し土面の場合降水量の6~7割位が地面に浸透して、調整池に流れ込む量は3~4割になると考える事が出来ます。
次は、飯能市許可の1.00m3(1トン)/秒と降雨量との関係です。
飯能市が許可した最大放流量、ここでの計算ではha(ヘクタール)当たりの数値の0.05m3/秒/ha(ヘクタール)を用います。0.05m3/秒/ha(ヘクタール)を時間当たりにすると180m3となります。1haは100m x 100m =10,000m2から、180m3/10,000m2=0.018m=18mmとなり、ます。つまり、1haに18mmの高さ分の水量となります。但しこの18mmは実水量で降雨量ではありません。
実水量は地面への浸透量がありますので、降雨量の3~4割分ですから、降雨量は18mm/0.3=60mm、18mm/0.4=45mmとなり、45mm~60mmという事になります。
次は実際の唐沢川の氾濫の記録とその際の降雨量です。
次図は、アメダスの記録です。
阿須山中付近のアメダス:飯能市征矢町観測地;の観測履歴では2016.08.22:13:00pm頃の台風9号の際にアメダス観測開始以降の飯能市の歴代1位の降雨量が記録され、
1時間:64.5mm/ 2時間:122mmでした。
この時間頃に前後して唐沢川が赤城神社先の県道越えた下流の南方からの別の川の合流の先で氾濫しています。
飯能市が許可した最大放流量0.05m3/秒/ha(ヘクタール)は降雨量の45mm~60mmとなり、これは唐沢川が氾濫した時のアメダス飯能市の歴代1位の降雨量の記録に匹敵しています。
この45mm~60mmの降雨時でも、池の底の排水口の390mm角管は飯能市許可の
1.00m3(1トン)/秒の放流が出来るものですので、調整池には一切水が溜まらず、放流を続ける事となります!
これ等から、調整池に水が溜まり始める事があるとすると、それは降雨量が45mm~60mmを越えた場合のみとなります。
県飯能川越農林振興センターの担当部長は阿須山中の調整池は飯能市許可の1.00m3(1トン)/秒を守るもので、大規模伐採造成により起こる保水力低下を、極めて稀な超豪雨時以外は調整池に水を溜めて保持する機能のものでは無いと認められました。
飯能市が許可した最大放流量約1m3(1トン)秒:開発地全体:の安全の根拠は、現実に起こった洪水を考慮していない、非現実的で非常に疑わしいのではないでしょうか?
私達が普通考える調整池とは底から垂れ流すのでなく、基本的にはある程度水を貯めて、その水は蒸発させるか、又は、ある水位から越水させるものではないでしょうか。
サッカーコートと調整池の共用の阿須山中でそれをするとサッカーコートは頻繁に水浸しになってしまい、結局、常設使用可能なサッカーコートと水害の安全優先の調整池の共用は元々非現実的で非常識で実現が無理なものではないでしょうか?
この事実は事業廃止の1つの重要な要件となると思います。
当方は、これ等以前の問題として、何故阿須山中のあの場所に、それも調整池の底に常時使用可能なサッカーコートを設置するのか? 全く理解できません。 今回の説明のような非現実さも有ります。サッカーコートの水没回避最優先で水害洪水安全回避が見過ごされていませんか?
飯能市、埼玉県、事業者、諸氏が、何故阿須山中のあの最不適な、使い勝手も悪すぎる場所に、更に普通より多額の費用を掛けてまてサッカーコート設置でなければなら無いのか? これを由とする理由を全く理解する事が出来ません。